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現場review|押入を書斎に

もともと押入れだった場所に、書斎をつくりたいという要望。ただデスクを置くだけでは、押入れのなかへ家具を置いたような、とってつけた印象になってしまう。そこで、デスクと本棚を一体で造作することにした。

限られた空間をひとつの家具で包むことで、ほどよい「おこもり感」が生まれ、独立した書斎として感じられるようになった。正面の壁には、紫色のアクセントクロス。少し深みのある色を奥の壁に使うことで、空間に奥行きが生まれ、落ち着いて作業できる書斎らしい雰囲気に仕上がった。

幅は約172cm、奥行きは約82cm。決して広くはない。だからこそ、既製品を組み合わせるのではなく、空間の寸法に合わせて家具をつくる意味があった。壁際まで無駄なく使い、必要な本や書類へ座ったまま手が届く。小さいけれど、使い勝手のよい書斎となった。

 

今回、特にこだわったのがデスクの天板。端から端まで、継ぎ目のない一枚の天板を通したかった。ただし、長い天板を一枚で通すには、たわまないよう、しっかり支える必要がある。大きな棚受金物を取り付ければ強度は確保できる。けれど、せっかく空間に合わせて造作するなら、できるだけ金物を見せず、すっきりと納めたい。

そこで本棚側は、収納を上下に分け、その間へ天板を差し込む構成とした。本棚そのものに、天板を支える役割を持たせている。反対側に採用したのは、「印籠」と呼ばれる納まり。壁側へ凹状の受けを設け、デスク側を凸状に加工し、互いをかみ合わせる。天板をしっかり固定しながら、接合部分を表から目立たせないための工夫。

造作家具では、限られた寸法に家具を合わせるだけでは足りない。どこで支えるのか。どのようにつなぐのか。その構造を、完成後にどこまで見せるのか。

小さな書斎だったからこそ、わずかな線や金物も目に入りやすい。強度と見た目の両方を整える「納まり」の大切さを、あらためて感じた造作だった。

 

今回はここまで。

それでは、また次回の「設計の余談」で。

 

 

↓前回の設計の余談はこちらから

 

 

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