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ひとりの暮らし vol.1 / 好きなものに囲まれて、帰りたくなる家

ひとりの暮らし vol.1 好きなものに囲まれて、帰りたくなる家

天満橋駅から歩いて数分。Oさんが選んだ44㎡の住まいには、好きなものと、日々を心地よくする工夫が詰まっています。以前は「寝に帰るだけ」だった家が、過ごしたい場所に変わるまで。HAMANOが話を聞きました。

「寝に帰るだけ」の部屋から

HAMANO:今はどんなところに住んでいますか。

Oさん:天満橋駅のすぐ近くにある、新築で購入したマンションです。10階の角部屋で、広さは44㎡の1SLDK。コンパクトなLDKと、それに続く寝室、窓のないウォークインクローゼットがあります。北側なら梅田方面の眺めがよかったんですが、私は南向きがよくて、この部屋を選びました。

間取りを変えることは考えませんでした。その代わり、インテリアや身の回りのものを、全部自分の好きなものにしようと思ったんです。キッチンにはカップボードを追加しました。吊り戸棚の下には半透明の扉を上に開ける収納があって、使いやすいし、部屋の雰囲気にも合っています。

HAMANO:住まいに対するコンセプトがとても明確ですね。この場所に決めた一番の理由は何でしたか。

Oさん:駅から近いことです。本当は、以前から住んでいた南森町のあたりが理想でしたが、予算が合わなくて。天満橋も通勤しやすいし、街の雰囲気が好きです。何より駅から徒歩数分というのがよかったですね。

HAMANO:駅に近いというのは、毎日のことだから大きいと思います。南森町では賃貸に住んでいたんですか。そちらも駅の近くだったのでしょうか。

Oさん:駅のすぐ近くの1Kでした。便利でしたけど、仕事が忙しくて、まさに寝に帰るだけの場所。コロナ禍に家で仕事をするようになり、ずっとそこにいるのが苦痛になったんです。

もう少し広い賃貸を探すと、家賃が10万円を超える。それなら購入したほうがいいかもしれないと思って、半ば勢いで見学を申し込みました。

家に帰るとリフレッシュできる

HAMANO:通勤には便利でも、家で過ごす時間が増えると窮屈に感じられるようになった。暮らし方が変わると、住まいに求めるものも変わりますよね。購入を決めて、実際に今の部屋に住み始めてから、気分は変わりましたか。

Oさん:めちゃくちゃよくなりました。前の家で使っていたものを一新して、気に入ったものだけで部屋をつくったんです。そうすると、きれいにしておきたいと思う。部屋が好きな状態だと気分もよくなる。その繰り返しですね。

もののしまう場所も決めました。たとえ出したままのものがあっても、好きなものなので嫌な気がしないんです。以前と違って、仕事が終わったら家に帰ってゆっくりしたいと思うようになりました。

HAMANO:片づけなければと自分に言い聞かせるだけでなく、気に入ったものを置くことで、自然とその状態を保ちたくなる。ものが出ていても嫌じゃないという話も面白いです。整っていることと、何も見えないようにしまうことは同じではないんですね。その帰りたくなる家で、普段はどんなふうに過ごしていますか。

Oさん:それなりに自炊します。凝った料理ではないですが、お酒が好きなので、おつまみをつくったり。あとは、テレビを見なくなりました。テレビの音や光が、部屋の雰囲気を変えてしまうように感じるんです。音楽をかけて、スタンドライトなどで少し暗めに過ごしています。以前より夜更かしもしなくなって、早く寝るようになりました。

HAMANO:部屋のあり方が、夜の過ごし方や生活のリズムにもつながっているんですね。休日はどんな風に過ごしていますか?

Oさん:部屋にいると落ち着くんですよ(笑)部屋を片付けたり。あと友人がよく来ます。景色を眺めながら音楽をかけて、好きなお菓子を持ち寄って、コーヒーや紅茶を飲みながら話します。以前は外のカフェで会っていましたが、友人も「ここなら時間や周りを気にせず話せる」と喜んでくれます。子育てがひと段落して、自分の時間を持てるようになった友人も多いんです。

テーブルに置いたガラスのティーポットとカップ。奥にソファと観葉植物

一台のテーブルに、いくつもの使い方

HAMANO:友人に披露するだけでなく、友人にとっても、気兼ねなく過ごせる場所になっている。交友関係やコミュニケーションが以前より活発になったのかもしれませんね。その居心地をつくっているもので、特に気に入っているものはありますか。

Oさん:カップボードのほかには、リビングのテーブルですね。部屋は広くないので、ダイニングとリビングを別々につくると狭くなってしまいます。それで、真ん中に置く一台のテーブルを、使い方に合わせて変えられるものにしました。

一人のときはダイニングテーブルの高さに。友人が来たら低くして、ソファや床に座って使えます。天板をL字型に広げることもできるんです。椅子も、座面を回すと高さが変わります。キッチンカウンターで食べるときも、テーブルで食べるときも使えるように。

HAMANO:44㎡に様々な家具を詰め込むのではなく、一台を変化させて使う。そうすることで、その日その時の居場所をかなり自由に選べそうです。装飾的なことだけでなく、機能的なものを選びながら、部屋の楽しさを大事にされているんですね。

Oさん:そうですね。あと、キッチンカウンターの端には「ここだけはごちゃごちゃしていていい」という場所をつくって(笑)、いろいろなものを飾っています。整った部屋の中にも、そういう場所があると楽しいんです。

キッチンカウンター端の飾り棚。ミニカーやレコード、ドライフラワーが並ぶ

これからの仕事も、この場所から

HAMANO:好きなものばかりの部屋だからこそ、飾るものが増えても、その場所だけは自由にしておける。きっちり整えるところと、気分で変えられるところの両方があるんですね。今の住まいを楽しんだ先には、どんな暮らしを思い描いていますか。

Oさん:今の暮らしに満足しているので、まずはこのまま続けたいです。でも、いつか年齢を重ねて、この家を手放すときも来ると思います。そのときも、この立地なら売りやすいのではないかと考えています。

それから、ゆくゆくは会社員から独立して、自分のビジネスをしたいんです。最初はこの家を拠点にして、ウォークインクローゼットを仕事部屋にするかもしれません。そのときには少し手を加えると思います。リビングとは分かれた場所なので、家で働いても気持ちを切り替えられそうです。

HAMANO:駅から近いという最初の条件が、今の通勤だけでなく、独立した後にも生きてきそうですね。ウォークインクローゼットを仕事場にするという発想も、今ある間取りを自分の変化に合わせて使う方法だと思います。好きなものを選んで、帰りたくなる家をつくった。その場所が、次にやりたいことを始める場所にもなるかもしれない。住まいを整えることが、未来の選択肢にもつながっているんですね。

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