中古住宅リノベーションの
知ってトクする豆知識
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中古住宅購入で見落としやすい「建物の問題」
中古住宅を購入したあとになって、「こんな物件買うんじゃなかった」という相談を受けることがあります。実際にあった二つのケースをご紹介します。
CASE 1 リフォームを始めたら、シロアリや雨漏りが見つかった
中古住宅を購入し、引き渡しを受けてからリフォーム会社が工事を始めたところ、シロアリの被害が見つかりました。その部分は補修したものの、工事を進めると今度は雨漏りの跡を発見。さらにリフォームが終わったあとに、外壁の一部が剥がれ、その内部の木材が傷んでいることも分かりました。
「ほかにも問題があるのではないか。建物全体を調査して、場合によっては売主を相手に裁判をしたい」
という相談でした。
ところが売買契約書を確認すると、売主の契約不適合責任を免責する内容になっていました。
中古住宅の個人間売買では、契約によって売主の責任を限定したり免責したりしているケースがあります。一方、売主が不具合を知りながら告げていなかった場合などは、免責条項があれば必ず責任を問えない、というわけでもありません。また、売主が宅地建物取引業者の場合には、買主に不利な契約不適合責任の特約にも法律上の制限があります。
ただ、実際に争うとなれば、「その不具合がいつからあったのか」「売主が知っていたのか」といったことを証明する必要があります。
建物を詳しく調査するにも費用がかかり、弁護士に依頼すればさらに時間と費用が必要です。それでも売主の責任を問えるとは限りません。
結局、その方は大きな不安を抱えたまま、その家に住み続けることになりました。
この物件では、売主側と買主側を同じ不動産会社が仲介する、いわゆる「両手仲介」でもありました。
両手仲介そのものが違法というわけではありません。しかし、一つの会社が売主と買主の双方を仲介する以上、買主としては「建物について自分の立場から判断してくれる専門家」を別に持っておくことも大切だと思います。
さらにリフォーム会社も仲介会社から紹介された会社でした。買主自身が判断するための第三者的な視点が入りにくくなっていたようです。
CASE 2 10年住んだあと、増築しようとしたら違反部分が見つかった
もう一つは、中古住宅を購入して10年ほど住んでいた方からの相談です。
増築をしたいというご依頼で、建物を調査し建築確認申請の準備を進めていたところ、既存建物に法令に適合していない改造部分が見つかりました。
お客様に聞くと、
「中古住宅として購入したときから、この状態でした」
とのことでした。
普段そのまま住んでいるだけでは気づかなくても、増築などで新たに建築確認申請を行う場合には、既存部分についても法適合性の確認が必要になることがあります。既存建物に違反部分があれば、そのままでは計画を進められず、是正が必要になることもあります。国土交通省も、既存建築物を増築などする際の現況調査や、法令への適合確認についてガイドラインを設けています。
この住宅でも、希望していた増築をするために、まず既存部分の是正工事を行うことになりました。
当然、その分の工事費が余計にかかります。
建物を調査し、既存部分を是正し、確認申請を行うための時間も必要となり、当初考えていたよりも工事費も期間も大きくなってしまいました。
買ってから調べるのではなく、買う前に調べる
二つのケースには共通点があります。
どちらも、住宅を購入する前に建物についてもう少し詳しく確認していれば、リスクを知ったうえで「買う・買わない」を判断できた可能性がある、ということです。
現在、中古住宅の売買では「既存住宅状況調査(インスペクション)」という制度があります。宅地建物取引業者には、媒介契約時にインスペクションを行う事業者をあっせんできるかどうかを説明することなどが求められています。
ただし、インスペクションをすればすべて分かるわけではありません。
一般的な既存住宅状況調査は、主に構造部分や雨漏りなどに関する劣化状況を確認するものです。「増築された部分は適法なのか」「確認申請と現在の建物が一致しているのか」「将来こんなリノベーションや増築ができるのか」といったところまで、自動的に確認してくれるものではありません。
だから私たちは、中古住宅を購入するときには、不動産会社だけでなく建築士にも相談してほしいと考えています。
建物の傷みを見る。図面や確認申請などの資料を確認する。増改築の履歴を見る。法的に問題がないかを確認する。
そして、「この家で将来やりたいことができるのか」を考える。
もちろん、建築士が調査しても壁の中や地面の下まで完全に分かるわけではありません。それでも、数千万円の住宅を購入してから問題を知るのと、購入前にリスクを知ったうえで判断するのとでは、大きな違いがあります。
中古住宅は、価格や立地、間取りだけで選ぶものではありません。不動産を買う前に、建物そのものを見る。中古住宅を購入するときには、それをぜひ覚えておいていただきたいと思います。
