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図面にはない世界

リノベーション工事では、解体を終えると、次は下地づくりの工程へ進む。壁や天井の骨組みをつくりながら、その内側へ電気配線や給排水管を組み込んでいく。

まだ骨組みだけの状態を見ると、あとからでも自由に変更できそうに思える。けれど実際には、この段階で現場と細かく打ち合わせをしておかなければ、仕上げが進んでからの後戻りが難しくなる。

工事の流れを左右する、重要な工程。確認するのは、配線や配管の位置だけではない。どのような材料で仕上げるのか。その仕上がりを実現するために、下地をどうつくり、どこで納めるのか。完成した姿から逆算しながら、現場と一つずつ決めていく。

その打ち合わせでは、図面だけでは説明しきれないことや、解体して初めて見えてきた状況に対して、その場で判断を求められることも少なくない。

そんなときに役立つのが、スケッチやメモ。

今回の現場では、天井を解体したところ、既存の梁が干渉し、レンジフードのダクトを天井裏に通せないことが判明した。そこで急きょ、ダクトを壁沿いに迂回させ、その部分を吊戸収納で隠す方法へ変更した。 

建具枠のまわりでは、壁と枠の塗装をどこで切り替えるのか。その「見切り」の位置や納まりを、スケッチを描きながら現場へ伝える。

 

 

あらかじめ決めた図面をもとに進める新築工事とは異なり、リノベーションには、解体して初めてわかることが数多くある。現れた状況を読み取り、その場で判断し、関係する職人へ正確に伝える。

スケッチやメモは、そのために欠かせないコミュニケーションツールとなる。大切なのは、絵の上手さではない。

何をどのようにつくりたいのか。

その意図が、現場の職人にきちんと伝わること。伝えるための工夫と熱意もまた、よい現場をつくるための大切な仕事なのだと思う。

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