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あなたの知らない違法建築、違反建築 -05-
事務所を保育園にコンバージョンできるか!?今回のお話しは、最難関の耐震改修についてです。
耐震の工事が必要かどうか、今の状況を調べる「耐震診断」をまず行わないといけません。この建物は鉄骨造なのでいつもお世話になっている馬瀬構造設計事務所に調査を依頼しました。
なにが大変かと言うと、鉄骨の柱や梁(柱と柱をつなぐ床下にはいっている部材)の様子を調べるのに、壁や天井を一部壊さないといけないということです。柱や梁をむき出しにした状態で、超音波探傷試験といって、超音波を鉄骨に当てて、厚みや鉄骨の劣化状況を計測したり、ボルトや接合部の状況を確認したりします。
構造材料の現状を確認したうえで、構造計算を行います。この計算により、建物が今の耐震基準に達しているか、もしくは何%くらいの耐力なのか、がわかります。
いまの基準値に達していたら良いんですけどね、まあ古い建物だと古い耐震基準でつくられているので、ほとんどのケースでは下回ることになると思います。そして「耐震改修工事」を行うこととなります。
こういった一連の流れをクリアして、もちろん市役所に報告書を提出して、これでようやく保育園として認可してもらえるかどうかの土俵に立つことになります。
これだけのプロセスを経るには時間もかかりますし、検査や改修・是正工事にともなう費用も発生します。これらが済んでようやく保育園としてのリノベーションがスタートになります。
今回のケースではあらかじめオーナーさんにお話していましたので「腹をくくってやってみましょう!」ということになったのですが、それでも話しはじめてから、保育園のリノベーションに着手するまで1年近くかかりました。
もしいまお手持ちの建物を別の用途に有効活用したい、と考えている皆さん。次の用途で必要な許認可について調べるだけでなく、その建物自体の適法性も問われることをお忘れなく。思った以上に時間とお金がかかることもありますので、ご注意を。